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事例つきABC分析+クロスギャップ分析 ~優秀営業マンと平均的な営業マンの時間の使い方
2021.10.04
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分析術:組み合せ術
- テーマ:ABC分析とクロスギャップ分析を組み合せ、 重点管理すべき項目を見つけだす。 これにより、優秀な営業マンと、 平均的な営業マンとの時間の使い方のギャップを分析することで、解決策を探索する。
- 主な分析手法:ABC分析、 クロスギャップ分解分析
- 使用ソフト:エクセル、 ボクは2次元プロットくん (エクセルアドインソフト)
- 問題提起:次の【事例図6-1】 は、 ある会社の営業マン5人の業務内容別にかかった時間 (1日平均)を示したものである。なお、この営業マン5人のうち、営業マンAは営業成績において常に上位に入る優秀営業マンである。また、 残りの4人はこの会社では平均的な営業成績をあげている営業マンである。
ある会社における、営業マンの業務活動を改善する
現在この会社では営業効率の向上を目指し、どうしたらよいか、解決策を模索中である。この会社で働いている営業マンの業務活動の事実を整理し、課題を明らかにしたい 次の【事例図6-1】のようなデータ与えられた場合、 どの作業内容に、どのくらいの時間がかかっているかを最初に整理する必要がある。 5人の営業マンの作業内容別のかかった時間を合計した表が【事例図6-2】 である。 このデータに基づいて「どの作業に」 「どのくらい」 の時間がかかるか?を明らかにして、重点管理すべき作業項目を絞り込むために適切な分析手法は、ABC分析である。 それを実行したABC分析結果表およびパレート図が、下図【事例図6-3】および【事例図6-4】 である。
これらの結果、図表から言えるのは、次の3点である。
- 最も多くの時間がかかっているのは、「移動」である。全作業時間の3割弱を占める。
- 営業マン本来の業務である「顧客訪問営業」にあてられる時間は、対象とした10作業項目のなかでは2番目、約14%を占める。
- 「会議」、「営業日報の作成」など、社内での営業本来の業務に付随する作業時間も看過できない。
これからも、当社の営業効率を上げる対策の大きな指針は見えてくる。それは、
- 移動時間の短縮
- 営業付随業務の短縮 である。
それでは、ABC分析によって洗い出された問題点を、クロスギャップ分解分析でより明確にしてみよう。 この手法を用いると、 優秀な営業マン(ここでは営業マンA)と、平均的な営業マン(ここでは営業マンB~E) の時間の使い方をプロセス別に分解し、「どこが」、「どれだけ」違うのかを明らかにすることができる このようにクロスギャップ分解分析とは、 2者の「違い」 をクローズアップし、互いの長所を明確に認識することを目的とした分析手法である。 この結果を【事例図6-5】 および【事例図6-6】に示す (ただし、分析にかけるデータは実作業時間ではなく、作業内容別の時間構成比をもとにしている)。
上記の結果からも、 優秀な営業マンAとそれ以外の平均的な営業マンとの、時間の使い方のくギャップ>を見ると、 営業マンAの方が圧倒的に多くの時間構成を割りあてている作業内容がある。
それは「顧客訪問営業(7.8ポイント差)」であり、営業マン本来の業務に多くの時間をとれるよう努力している姿が伺える。
一方、平均的な営業マンが多くの時間をあてているのは、 「営業日報の作成」「移動時間」である。優秀な営業マンAを作り出している、2つの理由
結論としては、 優秀な営業マンAが、「営業日報の作成」「移動時間」という作業内容をいかに効率よく処理しているかを調べることが、業績を上げるコツを共有するための糸口になるだろう。
ちなみに、このケースでは、ヒアリングなどを通じて、営業マンAが他の平均的な営業マンと著しく違っていた次の2点を把握できた。- 移動時間のロスを極力少なくするため、顧客の1日の行動バターンを検討し、できるだけ同じ時間帯に、互いに近い距離関係にある顧客の訪問アポをとれるようにしている。仮に、顧客からの急なキャンセルがあっても、その近場にいる顧客を訪問するスケジュールを調整して、 空いた時間をやりくりできるようにしている。
- 急な見積りを依頼する顧客は、ある程度までは限定できる。こうした特定顧客に対しては、 あらかじめ自分から打診しておく。 これにより、自己スケジュールの平準化を図っている。
全社的に営業マンの営業効率を上げたいならば、これらの項目の改善が焦層の急と言えるであろう。