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利用組数が少ない拠点利用促進調査報告書
2021.04.28
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利用組数が少ない拠点利用促進調査報告書
→お客様事例 日本福祉大学 渡辺教授様 利用促進調査報告書 作成今回の調査分析に関わった背景と依頼内容
「利用親子組数が少ない地域子育て支援拠点の利用促進等に関する調査研究」というテーマのプロジェクトが厚労省から提示されました。
目的は今後少子化がより進む環境にあって、いかにして子育て支援拠点の利用を促進させられるか、その要因を解明するというプロジェクトです。
そのプロジェクトに日本福祉大学の渡辺先生が応募し、今回受託されました。
実施メンバーとして、渡辺先生のほかに大学の先生2名(近棟先生、金山先生)、子育て関係の実業者代表として
ひろば全協の奥山理事、実務に詳しい方として亀山氏、アンケート調査の実行部隊として弊社(舘野)がアサインされました。
弊社は、渡辺先生が考案された質問内容の起草・編集、調査票発送先リストの作成、調査票印刷、発送・回収、データ入力、データクリーニング、集計、グラフ作成、データ分析を担当致しました。
分析方法の中でクロス分析を使用した背景
『アンケート分析はクロス集計に始まり、クロス集計に終わる』と言われています。
このように、アンケートデータ分析の基本はクロス集計にあります。 その理由は、クロス集計のクロス・スタイルにあります。
「表側項目×表頭項目」によるマトリクス・スタイルです。
データ分析のコツは「タテ方向の比較×ヨコ方向の比較」にあります。
それを実践する上で、クロス集計のマトリクス・スタイルがとても役立つからです。
弊社もこの考えに大賛成であり、「タテ方向の比較×ヨコ方向の比較」をより積極的に行い、
クロス集計表に潜む意味を可視化するシステムを独自に開発しました。それが便利で役立つという理由で、採用しました。
結果
クロス集計を利用することで、分析結果から、提言に繋げることができました。
市町村に対する量的調査から
・人口減少している自治体でも、拠点の利用者の変化に関して一様に影響をうけているわけではなく、三分の一は増加傾向がみられる。
・支援内容の充実や開催時間の延長等努力している市町村は、拠点の利用が促進されている傾向がある。
・多機能型支援は拠点の利用を促進する効果が認められる。ただし、事業間連携を図り、一体的な支援を行うことが大切。
・小規模自治体における拠点のメリットとして、都市部の大規模な拠点に比べて利用者の様子を把握しやすい、丁寧にかかわることができるなどに加え、コンパクトな行政機関ゆえに地域子育て支援事業と母子保健事業との連携が図りやすい。
・小規模な自治体の拠点では利用者とのコミュニケーションが図りやすく、とくに利用者の意見をよく聞いて支援内容の改善に努めている拠点では、利用傾向が増加する傾向が認められる。人口5万人未満の小規模な自治体において、拠点事業の利用促進を図るために以下のような3点を提案しました。
(1)小規模な自治体の強みを活かす ○支援者と利用者の関係性を築きやすく、利用者のニーズを直接的に把握することにより、利用者の視点に立って支援内容の改善に努めることができる。
- コンパクトな行政機関ゆえに母子保健との連携を図りやすい
・保健師による健診等における周知活動などの利用促進
・母子保健との連携により心配な家庭などへの連携に基づく支援を実施 - より小規模な自治体ほど拠点の利用率は高い傾向がある
・他に子育て支援の資源が少ない(人口が少ない自治体でも、のびのび遊べるスペースが貴重)だけに、支援内容を充実させることで子育てを支える中心的役割を担うことが大切
(2)多機能型支援の強みを活かす
- 多機能型支援によって、事業間での相互の利用が促進される。ただし、事業間での連携を図ることにより、文字通り「一体的」支援体制を築くことが大切。
- 特に利用者支援事業(訪問含む)を併設することによる利用促進効果が認められる。
(3)支援のあり方を常に見直し、充実させる
- 人口減少、出生数減少と拠点の利用者の増減は必ずしも連動しない。調査対象となった市町村の87%が人口減少、また78%は出生数も減少し続けているが、拠点の利用の増減は「増加している」「減少している」「どちらともいえない」に3分される
- 居心地のよい、使いやすい拠点においては、市外からの利用者数が増加したり、リピーターが増加したりなどの報告が見られる。
- 利用者が増加傾向にある拠点では、開所日数を増やしたり、WEBでの周知活動、アクセスのよい場所への移転、そして支援内容の充実などに積極的に取り組むなど、着実に努力を重ねている。→ 質の向上のために研修体系を整えることは課題である。
- コンパクトな行政機関ゆえに母子保健との連携を図りやすい